Anonymous Gods 公演情報 Orgel Theatre「Anonymous Gods 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     女優陣の演技も良い。
     板上ホリゾントには、時に応じて諸星が映写されるがその手前には堤防のような提。そしてこの提には橋の欄干がデザインされている。内容的にも芸者(厳密には芸者と妓婦は無論異なる)が橋を渡る小話が挿入されているので「心中天網島」の橋づくし等も想起させイマジネーションを大きく膨らませる。(華5つ☆)

    ネタバレBOX

    この提の更に手前には鉄パイプを横長の井桁に組んだ構造が配され更に手前には天井辺りから客席方向へ延びた鉄パイプが矢張り銀色の光を放って下手・上手に配されているが、シンメトリーにはなっていない。井桁部分は登場人物の1人、カスミが売れないカメラマンなのでカメラのフレームを表しているとみることができる。手前の鉄パイプ2本がシンメトリーになっていないのは、カスミとそのパトロン的役割を果たすことになった、元プリマのサラサとの、また人工授精をし妊娠中のカスミと彼女のパートナーであるアオイとの出産を巡る齟齬や、施設で育ち体中に傷跡を残し、身体の残した傷がトラウマとなって精神を蝕む、彫り師をしているナオと彼女のパートナー、サラサとのサディスティックな即ち同時にマゾヒスティックな関係性の非対称性やアンヴィヴァレンツを表していよう。無論、自死を目指す己を被写体に撮影をカスミに依頼したサラサと撮影者カスミとの単に見る、見られる関係に於ける優位性の問題から更に踏み込んだ能動態VS受動態に於ける強弱関係をも表している。これらの相関関係を描くことによって、今作の訴えるモノ・コトとは、我らが日々送る困難でパースペクティブを欠いた世界を生きる知的生命とは何か? 我らヒトに生きる意味はあるか? であると同時に生き抜くことへのどうしようもない欲求であると思われる。

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    2022/02/26 17:28

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