ロング・タイム・ノー・シー 公演情報 ナイーブスカンパニー「ロング・タイム・ノー・シー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    江刺家伸生氏 日向みおさんの回を拝見。華4つ☆

    ネタバレBOX

     板上は極めてシンプル。ホリゾント中央にスクリーンになる幕が垂れ、板に接した所から客席側へバージンロードのように延びている。下手、上手に椅子各一脚がシンメトリックに置かれており上手に女、下手に男が座る。上演は二人の間に交わされた諸々の情報が恰も互いの日記か手紙のように積み重なる様を朗読形式で為される。「バージンロード」風の敷物の上には円筒形の透明ガラス容器に花が活けてある。
     序盤、如何にもポストモダン、即ちかつて哲学が目指した真理や普遍性の探求ではなく寧ろ枝葉末節や中心性を欠いた思惟のレベルから先行哲学を揶揄・否定的に観、矛盾や錯覚、不完全性や非確実性を論理の俎上で並立させる為のソフィストケイトを多用、結果殆ど内実を伴わない表現様態を呈する哲学的様態によって変容させられた時代の言葉が乱用される。この表現が、当に我らが生きる現代の人間関係を浮き彫りにして見せる。当然の事ながら内実は、出会った当初の男女間の実に凡庸な、誰でもそのような経験をしてきた男女間のよしなしごとが、いやにソフィストケイトされた言葉によって描かれる。
     ところで、今作はその凡庸が、極めて特殊な互いの事情によってドラスティックに突き崩され、互いの裸形に近いレベル迄己の内実を曝け出し得た点にあろう。女は心を折った経験を持ち、その解決法を何処かで求めて足掻き、男は大きな2つの「嘘」を抱えて女に対していた。互いに逃れられない因縁のようなものを引きずり乍ら、因果の頸城の持つ縁から脱却し切れない。だが男について行こうとした女は、自分の答えがこの男には無い事を知り、答えを持つ男との結婚を選んだ。3年間の男女の一筋縄では行かない関係を描いて面白い。

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    2022/02/03 08:45

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