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天日坊【2月25日-26日公演中止】
観てきた!クチコミ一覧
クチコミとコメント
公演情報
松竹/Bunkamura「
天日坊【2月25日-26日公演中止】
」の観てきた!クチコミとコメント
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住み込みの女(533)
実演鑑賞
満足度
★★★★
ネタバレ
ネタバレBOX
コクーン歌舞伎・最終公演「天日坊』を観劇。
シアターコクーンが長期休暇に入るので、コクーン歌舞伎はこれで見納めであろう。
孤児の法策(中村勘九郎)は女性にだらしない観音院のもとで坊主の修行見習いをしている。ある寒い晩、世話になっているお産婆に酒の差し入れを持って行くと、ある事実を聞かされる。それは彼女の孫が源頼朝の落胤で、お墨付きを持っているという。法策は迷いながらも産婆を殺め、お墨付きを手に入れ、自分が源頼朝の落胤になろうと決意する。
逃げる法策、途中の河原で小作の男と服を取り替えるがその男も殺めてしまい、自分は殺されたという事にしてしまう。
道中、鎌倉幕府討幕を狙う地雷太郎(中村獅童)と一悶着あり、彼の連判状とお墨付きが入れ変わってしまう波乱はあるが、法策の腕についているアザが木曽義仲の嫡子であることが分かり、法策、地雷太郎、盗賊・人丸お六(中村七之助)の三人は意気投合し、鎌倉幕府倒幕を誓うのであった。
法策は天日坊を名を変え、地雷太郎と人丸お六の三人で源頼朝に接見し「天日坊は源頼朝の落胤である」と名乗り出るが、厳しい追及のもと天日坊が動揺してしまい、嘘が見破られ大立ち回り最中、天日坊だけが生き残るのであったのだ…。
簡単に粗筋を述べてはいるが、法策の奇怪な波乱万丈の人生物語と言っても良いだろう。ちょっとした偶然が法策の人生を変えてしまうが、彼が決して望んでいたのではなく、そのただ波に乗ってしまったようだ。
だがその法策もお産婆を殺めた瞬間、お墨付きを得た瞬間、自分の存在を消した瞬間、幕府倒幕に加担した瞬間、そして源頼朝に接見した瞬間など、常に苦虫を噛んだような表情をしていて「自分がこれを本当に望んでいたのか?」という疑問を常に唱えている。
一幕の終わりに法策が「俺は誰だあっ!」叫ぶ場面があり、今作は最後のコクーン歌舞伎のフィナーレに相応しい己の探究の物語なんだなぁと思わせるが、これは演出家・串田和美の罠で、法策の煮え切らない後味の悪さを観客は終始感じ続けるのである。
こんな毎場面、毎場面、主人公の後味の悪さが続く芝居はかつてあっただろうか?
しかしこの串田和美の罠がとある瞬間に破られるのである。
果たしてそれは何時なのであろうか?
観劇した者のみ答えを知るであろう。
その答えを知った観客は劇場を出た瞬間に問いたくなるのである。
「串田和美、貴方こそ何者なのだと?」
傑作である。
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2022/02/02 22:04
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