THE PRICE 公演情報 劇壇ガルバ「THE PRICE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ロシア生まれのユダヤ人という古物商ソロモン(89歳!)を演じた山崎一の飄々とした演技が最高だった。去年の「23階の笑い」とも重なる設定で、言葉のなまりと空気を読まない身勝手ぶりが面白い。仲違いした兄弟を演じた堀文明と大石継太の迫力もすごかった。特に、自分の考えていた父親像を崩され、あるいは目をつぶっていた真の姿を突きつけられて、混乱をきたし目を白黒させる堀は本当に可哀想だった。
    2時間半(休憩15ふんこみ)

    ネタバレBOX

    ヴィクターが兄を許せなく思っていたのは、30年代(多分)に学費の500ドル(医者の兄には払えたものだった)を貸してくれなかったことだった。ところが、ヴィクターと二人で生ゴミを食べて暮らしていた父が、大恐慌で無一文とばかり思っていたら、4000ドル(現在価値にして4000万円か)も持っていたという。しかもヴィクターも薄々勘づいていたのに、「家族をバラバラにしたくない」という思いで、目を塞いでいた。
    人間の屈折した心理、弱さ、狡さを容赦なく暴くアーサー•ミラーならではのドラマだ。兄弟のくんずほぐれつの言葉の応酬は圧倒された。

    試練を経て、ソロモン山崎もヴィクター堀も再出発してゆく。ソロモンは死ぬ準備をしていたのをやめ、仕事を再開する。ヴィクターは難しいところだが、フェンシングや服などを取りにくることで、過去との距離を取り直し、縛られていた家族、ルサンチマンから自由になる。何か吹っ切れたようなそのサバサバした感じが、心地よかった。

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    2022/01/20 21:58

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