『脱兎を追う』 公演情報 楽園王「『脱兎を追う』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ☆白組
    日暮里の名・小劇場、dー倉庫の閉館日。観易くていい小屋だった。これで日暮里に来ることは無さそう。
    開演前の舞台上から、淹れたコーヒーを飲みながら古きタイプライターで執筆中の本堂史子さん。この劇団は音楽の使い方が抜群で、選曲が素晴らしい。その部屋に訪れる妹の林美月(みづき)さんは宇多田ヒカル似で時折水川あさみっぽくもある美人。この二人の遣り取りが秀逸で、「夢の中で飛び降り自殺をした現場に行きたい」と妹は言う。崩壊した家庭の生き残り、自殺願望のある妹。姉はそのこと自体を執筆中の舞台のシナリオに取り入れながら、入れ子構造の物語は続いていく。

    ネタバレBOX

    自殺の名所であり、心霊スポットにもなっている集合団地の三号棟。靴を脱いで屋上に立つのはイトウエリさん。それをじっと覗き見ているのは、ドッペルゲンガーか死神か謎が謎を呼ぶ存在のあべあゆみさん。イトウエリさんがなかなか飛び降りないので、あべあゆみさんは到頭促しに姿を現す。イトウエリさんが死んだら『代わりの女』となって、彼女の人生を引き継ぐらしい。「それは御免だ」と揉める二人。更にそこにやって来るのが飛び降りに来たハイジ・アーデルハイド(黒田智栄さん)と止めに来たクララ・ゼーゼマン(加藤彩さん、怪演!)。ドタバタが続いて行く。

    結局、あべあゆみさんが飛び降り、イトウエリさんは彼女の『代わりの女』として生きていくこととなる。どうも彼女の魂は林美月さんを兼ねているようで、ここから生きていくことを力強く宣言する。

    本堂史子さんと林美月さんの紡ぎ出す世界が素晴らしかっただけに、後の二組の話は同じ作家が書いたとは思えない雑さ。時間を埋める為のコントか?会話の内容も低レベル。残念極まりない。

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    2021/12/26 16:32

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