嫉妬深子の嫉妬深い日々 公演情報 U-33project「嫉妬深子の嫉妬深い日々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    3か月連続公演の締括り。少し教訓臭を感じるが、タイトルから薄々感じられること。
    嫉妬深子…もちろん本名ではなく普通の女の子。どうしても他人と比較して嫉妬してしまう自分を内省する。彼女と同様にある渾名を付けられた女の子、こちらは他人を観察し客観視する。この2人の女性の視点を交差するように描いた物語。登場人物は全て女性で姦しく華やかであるが、意識しない棘があるところを上手く表現している。伝えたいことは解るが、その表し方が台詞中心になったのが勿体ない。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、段違いで中央は階段。上段の上手側に色鮮やかな殴り描き絵柄の屏風状、下手側は障子のような規則正しい升目の屏風状がある。板には色違いの箱馬が3つ。全体的にシンプルな造作であるが、そこに心内を表現したと思わせる工夫がある。

    冒頭は明子<渾名:メイコ>(鹿角東子サン)が同窓会に参加し、皆と再会するところから始まる。彼女は根暗で存在感がないことから、少しでも明るくという意、そして無色透明という意、両方の意味合いを込めた渾名。本人が知らない性格を見抜かれ、同窓会で真実を知らされる衝撃。一方、25歳A型 嫉妬深子(平安咲貴サン)は何かと嫉妬し地団駄踏むクセがあり、その様子から付けられた渾名。2人は渾名のイメージが先行し、本名で呼ばれることがない。

    さて同窓会は、リオ、ノリコ、エリ、チサト、ユカといった面々が集まり近況など歓談が始まる。本名(名前)で呼び合う同級生、そんな中で明子(メイコ)は、自分の立ち位置に違和感を覚えている。一方 深子は、同窓会前夜 興奮して寝付かれず寝坊、慌てて乗ったバスが千葉・館山に到着という敢えての滑稽さ。
    再び同窓会へ向かう中で回想や内省をする姿がメイン。あるサプリメント(フリスク?)を口にすると将来の自分・吉野部(細田こはるサン)が現れる怪現象(ファンタジー?)。何故、嫉妬するのか、その理由や原因を探るため、自分が好意を寄せた人、苦手な人、何事にも完璧な人を登場させ心の動きや あり様を描く。物語を紡ぐという観せ方ではなく、深子を囲んでサークルを成す、上段から色紙吹雪といった抽象的表現で心の中や情況を描くといった印象が強い。

    キャストの愛嬌や険(ケン)ある豊かな表情は、少し重たい内容を和ませ上手く牽引していく。衣装は、深子は殆どが体操着(皆からはそういうイメージ)、他の女性はカジュアル衣装という違いで際立たせる。名前さえ覚えてもらえない女性…自分は何者なのか、将来どうしたいのか、友達との関わり合い方は、と言った悩みがしっかり伝わる。これをもう少し物語に落とし(台詞や張り紙「なりたい自分になる」ではなく)観せて欲しかった。
    ラスト、深子と明子が本名(名前)で呼び合うシーンによって、自分の存在が確認できる幸せな結末。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/11/26 14:53

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