TOKYO LIVING MONOLOGUES 公演情報 DULL-COLORED POP「TOKYO LIVING MONOLOGUES」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    谷賢一さんの実験イベントである。

    会場はビルの地下にあって降り口の扉に小さな張り紙がある。20分前になると出演者の一人が不動産の営業という設定でプラカードを持って案内に来るのでおとなしく地上で待っていよう。

    地下の会場は小さな展覧会が開けるくらいの大きさで四つの角に2畳ほどの部屋があって住人がすでになにやら活動している。中央には20数席の客席がある。4つの部屋は以下のようにラベル付けされていて、最初の二つは一つのアパートの隣接した部屋だが他は離れた別のところのようだ。

    「本だらけの部屋」伝統的な日本観の中年男性。陰謀論にもはまっている。
    「女装部屋」若い男性、ブラック企業の重労働に疲れ、少女ヒーローのコスプレに癒しを求めている
    「配信部屋」若い女性、セクシーボイスを立体音響で配信している(観客も途中で指示に従ってこれをイヤホンで聴くのだが会場の音と混じって効果はよく分からなかった→ASMR対応イアホンがおすすめだが普通のイアホンでも会場の音だけよりはまし)。
    「ゴミ屋敷」別室で親の介護をしているが疲れて精神崩壊し、部屋もゴミだらけのアラフォーの女性。

    これらの部屋で交互にあるいは同時に住人が行動を起こす。「ゴミ屋敷」ではビデオチャット系の配信を行うが乳首すら見せないので数人いた客も全員退室してしまう。「女装部屋」ではミシンで新しいコスチュームを作っている…。とかなんとか色々のちょっと変わったしかし大したことのない日常が展開される。

    そんな部屋を観客がぞろぞろと動き回って覗きの快感を感じてもらおうというのがこのイベントの趣旨なのだろう。リアル「屋根裏の散歩者」か。さすがに初見の観客が動き回るはずもないので各部屋には複数のカメラを設置してZOOMで配信し、持ち込んだスマホやタブレットで自由に見て(覗いて)もらうという仕掛けになっている。

    そんなわけで実験であって全体にストーリーがあるわけではない。現実に苦しんだ4人が最後にうっすらと連帯するような動きもあるが90分のパフォーマンスのエンディングを無理に作ったものだろう。強いて意義を考えると(単なる中継でない)配信による演劇の可能性を探ったとでもなるのだろうか。まあでも基本というか全部がエンタメだ!

    入り口では目の周りだけの仮面が渡される。黒い服装が推奨されていたのと合わせて自分の好みで覗き回るときの匿名性を担保するためのものだろう。しかしもちろん普通の日本人は誰も自席から動かない。私も時々立ち上がって反対側を見るくらいだった。この仮面、覗きの気分を出す意味もあるのだろうが視野が狭められて不快である。しかし他の方が着けているのを見ると非日常的で中々良い感じなので結局最後までお付き合いした。

    持ち込んだスマホやタブレットでZOOMの会議に参加するのだが、URLとパスワードは前日のメールで指定され開演と同時に開始される。皆さんちゃんとZOOMをインストールしてきていて画面にずらっと並ぶので驚いた(*)。観客は画面の場所が割り当てられるだけで顔が映ることはないのでご安心を。しかし画面が小さいと各部屋を見るのが難しいので10インチ以上のタブレットやノートパソコンを持って行こう。会場ではWiFiが提供されるのでモバイル通信までは必要ない。

    以上評価は不可能、報告のみ。

    *皆さんそんなに準備が良いというのは変ですね。自宅で配信を観ている人も一緒に並んでいたのでしょう。

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    2021/11/13 21:19

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