フタマツヅキ 公演情報 iaku「フタマツヅキ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    iakuの『フタマツヅキ』を観劇。

    噺家くずれのダメ親父の下で過ごした息子は、将来の夢もなく仕方なく介護の仕事に就くつもりだ。そんなダメ親父に噺家としてのチャンスが再び巡り、自信がないながらも妻の応援もあって挑戦してみるが失敗する。
    夫をずっと応援してきた妻、やりたい事の為に子供を顧みないダメ親父、そのダメ親父の背中を見続けてきた息子。
    ダメ親父の敗北によって、家族同士が真摯に向き合う瞬間がやってくるのであった…。

    『好きな仕事につけた幸福は人生の幸福の8割を占めている』と著名な方が言っていたが、どうやらそれが怪しい名言だと感じてしまったのが観劇後の印象だ。
    今作は『夢を持って生きろ!』『やりたい事をやるのが人生だ!』というのがテーマではなく、背景に過ぎない。
    若い頃から妻に応援され続け、それに応える為にもがき、逃げることすら出来なくなってしまったダメ親父、常に夫優先の妻、子供の頃から構ってもらえず両親をなじる息子。
    大人になろうが、子供を持とうが、人間は常に何かしらの弱さを抱えてはいるが、その負の部分は決して抱えきれないが、時として対話によって簡単に解決してしまうのかもしれない。特に家族間ではそのような事は顕著に表れてくる。
    前作でも対話不足によって起こった悲劇を描いていたが、今作も同じようなテーマが潜んでいる。
    前作は会話によって悲劇は解決したが、今作では話しが得意な噺家のダメ親父が家族の再生に用いた道具は言わずとも分かりそうだが、そのクライマックスの上手さには演劇的魅力が存分に溢れていて、涙せずにはいられない。
    iakuは今作で6本目だが、代表作がここに誕生したようだ。
    傑作である。

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    2021/11/01 13:19

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