解放区 公演情報 GROUP THEATRE「解放区」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     舞台手前にはあちこちに塵の山、中央やや上手に舞台へ上がる段が1つ、上には茣蓙が掛けられている。舞台と客席の間、矢張り塵のような塊が上手下手の天井から1つずつ吊り下げられている。
     さて、板上。ホリゾント手前に衝立のように立ち上がる壁、その奥は袖になり上手に透明なビニールが貼られてバイオリン弾きが時折登場する。通常の演奏というより現代音楽的に不協和音をアレンジしたクラシックのような音楽を演奏しているのは、この空間が破壊の瀬戸際にあるからである。ビニールの更に上手には姿見サイズの大きな金色の額縁がある。壁下手には青いビニールハウス。住人は今作の主人公である。風呂に入れないから、物凄く臭う。
     壁から観客席へ延びる板上には下手に様々な書籍が塵の山となって散乱(産卵)し、上手にもやはり塵が若干と簡素な椅子としても用い得るガラクタが在る。
     物語は、可成り意外な展開を見せる。所謂ホームレスが主人公なのだが、このホームレス。実は天才と称された劇作家、元大学講師も務めたインテリである。その彼が何故このように零落の憂き目を見て居るか? その顛末が描かれたのが、今作である。(華4つ星、解釈は観た個々人がすればよい、時間が取れれば追記する)

    ネタバレBOX

     
     主人公は、その才能故体制側に多くの敵を作ると同時に大学での教え子、作家志望の新聞記者をはじめとして熱烈な信奉者にも恵まれていた。従って彼の住むこの塵溜めのような空間も数々の政治的愚策や自由への圧迫、自分の頭を用いて考え抜かれた思考を持つ者達への有象無象の圧力から人間存在を解き放つ劇的空間として設定され機能している。その原動力は無論限りない想像力である。そしてそのimaginationを身体化することによって具現化する劇場としてこの場が捉えられているが故に死守せねばならぬのである。当然の事ながら立ち退き要求に応じることはできない。
     一方、資本主義体制の「王」である資本家や彼らとタッグを組む「政治家」、「マスゴミ」上層部、高級官僚及び最高裁判所裁判官等利害を一にする者達は、己が利潤追求の為に例えば3S政策等を用いて人々から自由な時を簒奪するのみならず恰も人々は楽しんでいるかのように思わされながら自発的な思考を停止させられ洗脳されてゆく数々の手管を用いて思考停止へ追い込む。これら「巧妙」とも言えないプロパガンダによって多くの人々が自省の習慣を無化され、思考の表層化・無化に甘んじることとなった。
     人々の持つ最大の武器である自由で合理的且つ深く実践的でイマジネーションに富んだ思考を無化し表層化することに成功した資本は次の手に打って出た。資本の唯一無二の目的・利潤追求である。その一つの現れこそ、現在この界隈で唯一の場所となったこの自由劇場空間破壊であった。このイマジネーションの宝庫を金のなる木に変えようというのである。
     ところで何故解放を叫ぶ者達は、敗北せねばならぬかである。現象的には現場監督の「未だ人が居ます」という制止にも拘わらず大型クレーンに取り付けられた巨大な鉄球が彼らを襲撃したからという単なる物理法則によって弾き飛ばされ、残存していた構築物が破砕された彼らの身体に圧し掛かったからという事象に過ぎないが、人間が人間に対して行った行為として、ことはそれほど単純ではあり得ない。現場で作業に携わる者達も解放区を主張して殺された者達も単に資本(即ち資本主義社会で高位を占める資本家≒王侯貴族や所謂エスタブリッシュメント等人間社会というヒエラルキー上位者)占有階層からみれば、ヒエラルキー下位を構成する人間総ては「モノ」に過ぎないからである。今更優生保護思想を喧伝するまでもなく、彼らのイデオロギーは「進化論」の曲解を根拠とする。無論、エスタブリッシュメント達は直接他人の死に関わるような愚行には関与しない。そんなことをするのは彼らの支配を受ける人間達に任せておけばよいのである。

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    2021/10/23 15:26

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  •  皆さま
    遅くなりましたが取りあえずアップしました。ご笑覧下さい。
                            ハンダラ 拝

    2021/10/23 15:39

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