実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/10/06 (水) 14:00
座席1階
かつては宣告されたらもう人生おしまい、という病気だったが、今は二人に一人が患者となる時代。若くしてがんになった人も治癒して社会復帰している人もたくさんいる。それでもやっぱり、日本人の死因の1位であるだけに怖い病気だ。今作は、がんを患ってストーマ(人工肛門)をつけるようになった内田春菊さんが、劇団に書き下ろした快作である。
設定の妙というか。乳がんと診断されることになる職場の先輩と、励ましているのか迷惑がっているのかよくわからない後輩のアイドル系ユーチューバーという年が離れた二人の女性。これを軸にした舞台は、暗さをまったく感じさせないポップなムードで進んでいく。
大腸がんでストーマを造設した男性がこの二人の女性の間に入って微妙な三角関係を作っているというのもいい。笑える場面はたくさんあるが、先輩の女性がユーチューバーのオタク女性を「オタクだから生身の男性と付き合ったことなどないだろう、ましてリアルなセックスなど」と思い込んでいたのが、実は子どもまで作っていたという衝撃の場面だ。このほかにも、タイトルにあるように「がん患者だもの」という現実世界で「あるある」の小ネタがたくさんあって、飽きることはない。
初日だったので、内田春菊さんが舞台終了後に登場してミニライブをしてくれた。ちょっとしたお得感があった。不勉強だが、「うずめ劇場」は初めて見た。また、新しい注目劇団を見つけたぞ、というお得感もあった。