ムサシ 公演情報 ホリプロ「ムサシ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/09/25 (土) 13:30

    竹やぶのセットがざわざわしたとき、思いがけず泣きそうになった。このセットを創り動かし音を奏でている人たちの熱い存在を感じた。冒頭客席に背を向けて発する台詞が多く、発声も口跡も良いだけに残念な気がした。大胆なオチは、剣客の生き方を呆気なく変えるにはちょっと軽い気もするが、殺生そのものに焦点を当てるならば、作者のゆずれない価値観と見るべきか。それにしても芸達者が集まると、こんなに隙の無い舞台が出来るものなのだ。

    ネタバレBOX

    「小次郎破れたり!」の有名な場面は冒頭の4~5分か。
    小次郎にまだ息があるのを確かめて「藩医殿、お手当を!」と言い残し立ち去る武蔵。
    話はすぐにその6年後の鎌倉に移る。

    沢庵和尚や柳生但馬守宗矩らやけに豪華な人々に囲まれながら、
    武蔵は寺の作事を手伝っている。
    そこへ現れたのが一命を取り止めた小次郎、もう一度武蔵と”公平な勝負”をしたい
    という、その一念だけで復活を遂げたのだった。

    果し合いの約束を交わし、再びの闘いを前に一触即発の二人を中心に、
    滞在する寺には様々な問題を抱えた人間が集まって来る。
    そしてもう一つの果し合いが同時に行われようとしたとき、真実が露わになる。

    剣客を生業とし、その道で頂点を極めるという目標しか知らずに生きてきた者が
    成仏できずに彷徨う亡者に請われてそれを翻すという、呆気にとられる展開。
    「剣客のプライド、それがどうした、命が最優先だろ」という絶対価値観が
    井上ひさしの真意なのだと思う。

    今ノリに乗っている吉田鋼太郎さんの自在な演出と軽やかさが光る。
    悲壮感漂う若武者二人の緊張感が素晴らしい。座長はさすがの貫禄。
    それと白石加代子・鈴木杏の軽妙な掛け合いの鮮やかな対比が楽しい。
    鈴木杏の声の良さ、舞台映えする所作の美しさに驚かされた。

    冒頭から声佳し口跡佳しで魅了される。
    鍛えられた役者陣にゆとりが感じられて安心して観ていられた。
    あー、楽しかった♪



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    2021/09/27 01:15

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