実演鑑賞
満足度★★★★★
#丘の上、ねむのき産婦人科
#DULL-COLORED POP
#ダルカラ
#A通常版
B男女入れ替え版を観てからの観劇となり、期待以上の効果がB版によってもたらされたのではないかと思う。特筆すべきは #李そじん さん。最も客席の共感を呼ぶ二人の話のように思う。西洋のように子どもを預けて夫婦も大人の時間を楽しむ…というスタイルは馴染まない日本の一般的な家庭の悩み。ユーモアを織り交ぜながら、大人の楽しみを削って子どもに合わせなければならない未来を想定する。子ども優先を良しとし、そこへ導いたのに…遠い目をする妻の微かに滲む憂いに胸がギュ~ッとなった。頬をつたう一筋のソレが予想外のタイミングで胸を突かれた。寄り添っているようで妻の不安に気付けず、妻との時間を大切にしているようで検診から流れた時間に気付けない #東谷英人 さん演じる夫。この夫がダメなのではなく、多くの日本の男性がそうであろうということこそが胸を痛める。客席の笑いと涙が一番多かった二人。李そじんさんの瞳の雄弁さに今作でも心奪われた。
#岸田研二 さんがイイ。出過ぎない存在感。それでいて、困惑や葛藤がクッキリと浮かび上がる。今後も観続けたい俳優さん。
驚きは #倉橋愛実 さん。福島三部作の1961再演時で出会った彼女。ハスキーなのに張りのある通る声が好きな「女の子」だった。それが見事に艶やかなオンナとしてそこにいて…惚れ惚れ。ジーンズの脚のなんと美しいことか。彼女が仕掛けた地獄の入口。その奥の景色はどんなことになっているだろう。背筋が凍る気持ちがした。