オーレリアンの兄妹 公演情報 EPOCH MAN〈エポックマン〉「オーレリアンの兄妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/08/18 (水) 14:00

    小沢さんのひとり芝居は何度か観ているが中村中の声が素晴らしい存在感を放ち、彼とここまで絶妙な掛け合いを成立させることに驚かされる。次第に明らかになる重いバックグラウンドと、それにつれて緊張感を増す台詞、引きずり込まれるような75分間。

    ネタバレBOX

    駅前劇場で隣の椅子がこんなに間隔をあけて置かれたのを初めて見た。
    隣の人の動きが気にならないのが快適で、ずっとこのくらいならいいのにな、と思う。
    劇場としてはもっと詰めたいところなのかもしれないが。

    レンガの壁が客席に迫っていて、一番前の客席と舞台の距離が異様に近い。
    嵐のような、強い風のような音が客入れの時からずっと続いている。
    定刻開演。

    兄と妹が客席中央の通路に登場、クマ除けらしく缶か何かを叩きながら
    夜道を歩いてくる。
    舞台上のレンガの建物に気付き、恐る恐る二人が中へと進むと
    壁は舞台中央から真っ二つに割れ、二人を奥へと誘う・・・。

    この後建物内部のセットが小沢さんらしい工夫に溢れていて秀逸。
    驚きと楽しさ満載でわくわくする。

    兄妹はなぜこんな嵐の夜にクマ除けを鳴らしながら歩いてきたのか。
    その背景が次第に明らかになる過程が切なく巧い。

    オペレッタのように歌が挿入されてリズムが生まれる。
    互いにかぶせるような台詞の応酬が緊張感と切羽詰まった状況を際立たせる。
    兄と妹の違いが浮かび上がり、意見の相違はやがて別々の道を選択させる。

    中村中さんの、意思を感じさせる強い声が魅力的。
    歌はもちろんだが、台詞に迷いが無くて爽快だ。

    小沢さん、兄が衝撃的な体験を語るところが素晴らしい。
    同じ現実が自分の身にもうすぐ起こることを予感して愕然とする。
    その言葉は、聴いている私が息苦しくなるほど。

    二人とも、まだ大人になっていない故の不安と恐怖が生々しく痛ましく、
    一種凄みがあった。

    これは逆境から逃げ出す話ではない。
    逃げ出してから自分の人生を選択し切り開く物語だ。
    兄はどうする?
    妹はどうなる?
    舞台は終わって、ここから二人の人生が転がり始める。

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    2021/08/18 22:43

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