雨花のけもの 公演情報 彩の国さいたま芸術劇場「雨花のけもの」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ほろびての名は目の端にあったが未見。さいたまネクスト・シアターは蜷川氏の死後、「第三世代」等3つばかり観たに過ぎぬ。何をもって「最終」かは、説明されない所を見ると大方行政の事情だろう。
    今回の舞台は、俳優たちの力を存分に証明し、若い作家の可能性も確かに感じさせる公演となった。
    岩松演出は作品の世界観を余すことなく具現する空間、豪奢な装置、調度、衣裳を配し、有終の美を飾るに相応しかった。力作である。

    ネタバレBOX

    「人間をペットにする」という文字だけ見ればセンセーショナルであり、劇中もこれを「違法」とする外部の目が一瞬登場するが、「あり得なくない」風景に見えた。
    「飼われる」側は、その「庇護を要する」性質において「飼う」者の目には魅力を放ち(女性にそれを求める男もいる)、飼い主とペットとの関係は小説では珍しくない倒錯の一形態に見える。現代に散見される人間社会や関係の構造の縮図に見えて来るのが不思議であった。
    人間の束縛とそれへの反抗といった明快な図式では語れない(パンフで徳永女史が書いた「グラデーション」が言い得ている)人間と人間社会の相貌は、物事を単純化して描写し解釈したがる昨今の日本社会では異端だが貴重だ。
    単純化は排除を生む。
    本作の「愛すべき」世界観を体現したネクストの俳優諸氏の今後の活躍に期待したい。

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    2021/08/16 00:30

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