先の綻び 公演情報 劇団水中ランナー「先の綻び」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     ちょっと想像に傾き過ぎているように感じる。(追記2021.2.23)

    ネタバレBOX

     一所懸命に打った公演である。それは拝見してつくづく納得させて頂いた。だからこそ忌憚ない意見を述べさせて頂きたいと存ずる。作家は男性であるが、失礼ながら女性と余り深く関わった経験には乏しいのではないか? 或は女性経験の数も多くは無いように思われる。何となればひかりは理屈っぽい女性として描かれているにも関わらず己の持つ自己矛盾を己自身で解決する術も持たぬ知恵の無い愚妹として描かれている点は余りに不自然だ。政文が己の依存している兄に似ているから、兄への決定的依存を自覚している彼女にアンヴィヴァレンツを齎す程度の理屈は無論良く分かるのだが、女性は更に現実的対応を取るのが普通だと自分は考える。ひかりは己の生きる意味を真剣に考え得る程度には賢い女性であろう。であれば己を真剣に愛してくれる男性が己の性格では殆ど皆無に等しいことも自覚できているであろう。限定条件として彼女はヘテロでもある。であれば政文に何時迄もごねている己の非現実的(カップルになる為の)対応にもキチンとケアをするハズである。先ずはこの辺りの矛盾や非現実感にリアリティーの欠如を感じる。
     もう一点だけ、在り得ないと思う点を指摘しておきたい。菜月の証言では、彼女がもう駄目だ、刺されると思った瞬間に信太が助けに入り、その際彼女の方に向かって微笑み声を掛けたということになっているが、刃物を持った若い男が他人を殺害しようとしている刹那そんなことをしている暇は無い。先ず刃物を蹴落として襲撃犯を身動きできないようにした上でなら兎も角、命の懸かるような格闘をしたことのある者ならこのようなことは余りに現実離れしていて描けない。仮に今作に描かれているようなことであれば、作品全体に描かれている信太の人助け行為は過去に無かったことになろう。何となればそういうことを本当にしていた人間であるなら刃物を持った相手にどう対処すればよいかの判断が正しくできたからあの年迄生き延びられたことになるからであり、今回の菜月証言とは矛盾するからである。他にもリアリティーの欠如を感じた部分は幾つかあるが指摘はここ迄にしておく。

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    2021/02/19 15:08

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