満足度★★★★★
#ピーチオンザビーチノーエスケープ
毒がある芸術が好きだ。エロス、性暴力、バイオレンス……主宰 中島庸介さんが勝負に出た作品。これまでにもその志向性は感じられた。それが氏の作品の魅力であることは間違いない。今作は、ある種タブーとされるジャンルに大きく踏み込み……見て見ぬふりの社会や世間、そして観客の道徳観や倫理観に鋭く刃を突きつけた。フライヤーを最初に見た時の衝撃を裏切らない作品が誕生した。
ポツドールが拓いた世界を斜めに切り込んでポップに提示してみせた。キャストの覚悟は偉大で敬意を表したい。そうさせたのも氏の本気の挑戦によるものに違いない。かつて、体当たりする俳優はそれのみに価値があって演技(台詞)が残念で目を瞑るしかなかった。でも今作は違う。美しく可愛らしい俳優がそこに覚悟をもって立ち、見事に生きている。陳腐な表現だけれど、実に巧い。そして観終えた時に、それまでの「覚悟」と表現していたモノの必然を感じ、語弊を恐れずに言えば……なんだか大したことではないように思える。それこそが、今作の力なのではなかろうか。必見。
今作で特に目を引いたのは……山田梨佳さん、井上実莉さん。今後の彼女たちに注目したい。
バイオレンスを一手に引き受けた斉藤マッチュさん。あの雰囲気、やっぱり好きだ。
大好きな藍澤慶子さんは重要なマドンナ。でも、次はまた違う役柄で、たっぷり話す彼女を観たい。