ザ・空気 ver. 3 公演情報 ニ兎社「ザ・空気 ver. 3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    当たりシリーズだけあって、見ている間は、展開も面白く楽しめるが、現代世間批判としては新劇版ニュースペーパーみたいで、作者が永井愛なら、もっと演劇的に深く突っ込めるのにと、「時の物置」や「パパのデモクラシー」を懐かしく思い出してしまう。
    テレビのニュース番組の裏話で、このレベルのメディア批判劇は既に幾つもある。若い作家も書いている。永井愛ならもっと、ユニークな視角でドラマを作ってほしい。というのはこちらの勝手な願いで、この方が分かりやすい。劇場の観客はテレビしか見ない善男善女だからこれでいい、現に拍手喝采してくれるではないか、といわれると二言はないのだが。
    現実社会の実働人間はニュースが必要なら、新聞も週刊誌もSNSも利用する。この舞台で見られるようなテレビ番組だけを頼りにしてはいない。トランプは半分も支持者があるから侮れないという識者もいるが、あれだけテレビで宣伝し、SNSで発信しまくっても半分に届かないのである。別の評者(かず氏)も言っているように、これで自らの主張とするならかなり寂しい。
    しかし、この優れたおとなしい劇作家をこのレベルまで駆り立てたのは、新国立劇場での官僚との対立や現政権のでたらめ政策が蓮日繰り広げられ腹に据えかねたからであろう。無学・無神経な政治家・官僚の権力を嵩にきた文化いじりは本人たちが気付いていない一国の文化水準を貶める罪深い所業だ。

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    2021/01/13 23:30

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