満足度★★★
鑑賞日2020/12/19 (土)
何かしらの激甚災害の跡(?)… 行政は機能しなくなり、富裕層は海外へ移住… 中間層はサイトと呼ばれる組織が管理するシェルターへ… 更にそこからあぶれた者が寂れた市中を彷徨っている… そんな感じの近未来が舞台らしい。
放射能汚染?といった趣きだが仔細は語られず…そこには意味は無いのだろう。謎が明かされていくことが面白みになるミステリーとは趣きが異なる。
非常事態にあって…何もかもが「しょうがない」と… 差別と非寛容が肯定されて…切り捨てられていく人達がいる悲しき世界が…ただそこにある。
悲しいかな確実に… この現代日本の延長線上に在ると思わせる空気に… もの凄いリアリティとシニカルな視点がありました。
一方で、冒頭から幾度も語られる伝承(?)には… 原始的な宗教感… というか死生観?があって、近未来の現実感に不似合いな印象もありました。残された人たちにとっては…もはやそういうところにしか 縋る寄る辺がない… ということなのだろうか。
全体としては すっぱりカタのつく物語構造ではなく… 登場人物のモヤモヤが吐き出されて、不透明なしがらみと決別して前に進んでいく趣きで終わった印象。
観る者によく分からない何かを背負わせる後味もあって、感想も歯切れが悪くなっちゃう。ただ…それこそが人生だって気もするね。