満足度★★★
鑑賞日2020/11/08 (日)
とある遺跡… 「墓宮殿」という場を遡っていく時の流れ… 現代の観光客から…宮殿の盛衰を経て… それを築いた王その人に纏わる出来事まで、様々な身分/立場の人々が時間を入り乱れつつ、9つの独白を奏でる。
観る立場からすれば、それはあたかも「遺跡」という場に漂う多様な「残留思念」を眺めるが如きで、とめどなく流れる怒濤のテキストに呑み込まれ、更には多様な趣向と演出に目を奪われるうちに… 何が何だか分からないまま終演を迎えたと言うのが率直なところ。
観劇したというよりは… 何かを体験したという感触で、まさしく自分も遺跡を訪れた観光客の一人であったのだろう。
事前に半分までしか戯曲を読んでおらず、しっかり読んだところは その場でちゃんと印象が頭に刻まれているのだか、そうでないところは… 観劇後に戯曲を改めて読んでも 舞台イメージとしっかり繋がらない体たらくで、フワッとした観後感になったのは悔やまれる。
モノローグ単発での面白味はそれぞれにある… 歴史学者の妻は印象的。
ただ それらを繋ぎ合わせて通底する何かを掴み取るには咀嚼に時間が要る。アーカイブ配信で改めて挑む必要がある感じ。でもこの歯ごたえがAAF戯曲賞公演の常やな。