警部と探偵、その助手と殺人鬼 公演情報 劇団芝居屋かいとうらんま「警部と探偵、その助手と殺人鬼」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/01/19 (日)

    お馴染みジュリアーノ警部の舞台に、BLANK BLANK BRAINの迷探偵コンビ蘭子&珠理が殴り込み… ツッコミ不在でボケの3乗、舞台上で留まることなくボケ倒す。かいとうらんま不動の定番キャラの存在感に… 遂に拮抗できるキャラを、しかも若手から生み出した価値は非常に大きい。本公演での客の評判の高さに対応して… まさしく機を見るに敏なり!の投入は大成功でしたね。

    ネタバレBOX

    割と強引に終わらしたけど、結構な謎と含みを残した後味だったよねぇ。しかも… かなり怖くてヤバい要素を曖昧なまま終わらした… リアルな部分と突飛なフィクション両方で。

    そもそもの「イジメ」については、当人も出ないんでフォーカスこそされなかったけど、あの「悪意なきイジメ」は、イジメる側への切り口として昨今の潮流に準じた感じで、どうしょうも無くシビア。

    「ゲームさえ与えておけば大丈夫」と…ノリの為に他人を蔑ろにすることに最後まで罪悪感を持たなかった描写は… 他人の痛みを想像する気力すらない程の無関心を窺わせ、悲しい現実味と諦観を想い浮かばせた。

    一方、大事な人を犯人だと思い込み…庇う為に捜査を混乱させたり、自分が犯人だと自供してみせたりしたことがクローズアップされたが…その反面で真犯人が誰か、その動機が何なのかが敢えてなのかボンヤリしていて、庇い合うエモさでカモフラージュしながら、結構な勢いで結末に畳み掛けてくる。キョトンとしている間に終わっちゃう感覚だ。

    結局、犯人は実際にあの中の誰かだったのか(動機は?)、あるいは最後の露美男が全部殺っちゃってたことになるのか、それとも全ては教団の人体実験に絡んだ犠牲者なのか…分かったような分からないような感じだけど、一つはっきり感じられたのは、誰が殺していても、誰が殺されていても…何も湧いてこない感情の希薄さ、ゲームの様な軽さ…何かそこに本作の「裏」を想像してしまうのですよ。

    勿論 この作品の主体がコメディとエンタメなのは間違いないです。私もそう楽しんだ。しかし この楽しさの裏のモヤモヤする観後感を生む作品構造に意味が無い訳はないと思って…ただ辻褄を合わせるだけ…ただドラマを作るだけなら、後藤さん程の手練れが違和感を消すことは容易な筈で、だから「そうしなかった意味」がきっと何かある。

    初日の感想ツイートの中にあった『私に笑えないところで皆が笑う』という趣旨のモノも思索のキッカケ。… で、思ったんです。

    この楽しさの「裏の闇」は…今の世相をそのまま写す鏡ではないかと。

    「自分に危害のないところから 然したる悪意も罪悪感も無しに 生贄の様に他人を攻撃して楽しむ」…薄っすら透けるそんな地獄絵図を鏡写しに見せて、自分の行為に気づきを得て欲しかったのでは…と。

    しかもそれがただ非難する為の説教ではなく、だからこそ最後に「どんな状況でも、悔い改めるのに遅いという事はない」という趣旨のセリフに繋がっていく。そこが後藤さんの味かなぁと勝手に妄想しました(;^_^A

    そして重めの話とはまた別の視点で…

    … あの教団の暗躍(死体を使っての実験、…手から放つ謎の雷光兵器、何となく人の心理や記憶を操っている様な謎めく仕掛け…等々)には、もの凄い裏設定を妄想させられたけど、結局 一切回収してこなかったよね?、むっちゃ気になるんですけど(笑)

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    2021/01/05 19:49

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