Liar 公演情報 20's「Liar」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     歌は皆中々上手い。キーボード演奏が生で入っている点も好感が持てる。

    ネタバレBOX

     お転婆娘が金沢の妻となると決まり金沢本人が迎えに来た。しょっぱな心の整理がつかない娘が迎えに出ることもできない言い訳をした母も、いざ用意が整い夫となる金沢を迎えて旅立ちの為の被り物を娘につけてやるのだが、金沢と対面していた娘を振り向かせ被り物を付けてやる際、会釈の一つ位は欲しい。何となれば日本の時代物である以上、女性は五障の障りがあると差別されていたのであるし、まして可成り高位の侍の縁組であるのはシチュエイションからして明らかなので、この程度のインテレクチュアルは常識。其の位階制にあって娘を婿殿との相対から逸らすことは失礼にあたる。其の無礼を謝す為に会釈程度は当たり前のことなので演出がこの動作をキチンとつけなければならない。こういった作業を怠ると、身を多襄丸に汚された娘の極め台詞は完全に浮いてしまう。最低限、この程度の演劇表現上のリアリティーは守るべきである。
     一方多少頑張ったり才能の片鱗を見せる若い演劇人は、今時のこの「国」の状況を体験してパラダイムシフト転換を無論目指している。ベースが芥川の今作を選んだのもその辺りの事情があろう。だが、これでは脚本の掘り下げが甘い。というのも現在は芥川の生きた時代ではないから、パラダイムシフトをせねばならない緊迫度がまるで違う。仮に現代日本に芥川が生きていたら、真の意味のパラダイムシフトを目指すであろうし、そうなれば今作で描かれているような既に人口に膾炙した社会体制、社会思想でこね回す論理で終わるハズが無いのである。最低限自分の頭で現実に起こっているリアルな現実世界の徹底的分析を行った上でこの現実が拠って立っている総ての地平を完全に別の視座から対象化しなければならない。それができて初めて現実に現在機能しているパラダイムをシフトする縁のトバ口に立つのである。この程度の認識に至るだけでも狂気に陥る程徹底的な思考が要求される。そしてそれのみが真に新たな地平を開くのである。心して掛かられたい。

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    2020/12/06 01:58

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