『迷子の時間』-「語る室」2020- 公演情報 パルコ・プロデュース「『迷子の時間』-「語る室」2020-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    鑑賞日2020/11/15 (日) 14:00

    座席S列19番

    佐々木蔵之介さんたちが出演して以来の、パルコ×前川のコラボ作品。
    前回と同じく、SFやサスペンスめいた部分はほぼなく、「ちょっと不思議」で
    「ちょっとしんみり」する感じの作品でした。

    亀梨和也さんはじめ、みんなとにかく芸達者だなぁとほとほと感心しました。

    ネタバレBOX

    メインとなる舞台を「2005年の地方都市の片隅にある交番」に据えた上で、「1978年」「2000年」「2022年」と
    合計4つの時間軸を縦横無尽に登場人物たちが行き交うという物語。

    2000年、白い霧に飲み込まれて忽然と消えた男性と近所に住む子供は、1978年に時間移動して現地で新しい生活を開始。
    男性は戸籍のないまま死去し、子どもは結婚相手と養子縁組することで何とか事なきを得る。

    消えた男性のフィリピン人妻は、近所の白眼視に耐え切れずに男性一族の戸籍から離脱。その幼い息子は成人そこそこの
    2022年に故郷へ戻ったことをきっかけに、これまた2000年に時間移動してしまい、児童消失事件の参考人として逃げ惑う
    はめに。

    養子縁組を果たした男とその義理の妹、自動消失事件に携わった警官、消えた男の弟、消えた児童の母で警官の姉、逃亡を
    続けている青年とひょんなことで知り合った占い師の7人が、本当に偶然かつ一瞬の間、「2005年の地方都市のはずれにある
    山間の交番」ですれ違う、という

    今あらすじ書いてるだけでも複雑だなぁと思うような話です。最近の前川作品っぽく、戸籍ネタとか、社会問題っぽいのを
    織り交ぜてるけど、複雑な作品により一層要素(ただあまり深掘りはされないので、「かわいそう」「ひどい」レベルの
    感想で終わってしまう)が入っちゃって、どこを見ればいいか分からないきらいはあった。感動した方がいいのか、ほろっと
    した方がいいのか、部分部分で出てくる理不尽にムッとすればいいのか、情報量が多すぎて見終わった後何かが残る感じでは
    なかった気がする。

    イキウメでの公演で出てきた「中絶少女」の話もそうだけど、何か物申そうとして、でもうまく動かせず、「パーツ」で
    終わってしまっているケースが多い。何かを持ってこなくても深刻さが伝わってくるのが前川作品(図書館での吸血鬼の
    話とか)なので、そこはホント再考願いたい。

    脚本が凝っているにも関わらず、凡庸に終わってしまった一方、役者陣の健闘がすごい。

    亀梨さんの「面倒ごとはなるべく避けて、でも情にはそれなりに厚い田舎の警察官」(警官って人に物を説いて聞かせる
    とき、あの間延びしたような話し方するよね)感うますぎて、思いっきりなでつけた髪型もあいまって最初全然
    気づきませんでした。テレビはもちろんのこと舞台映えしそうなのでもっと挑戦してほしいですよね。

    あとは、いかにも胡散臭いけど、いろいろ見通せてる占い師を演じた古谷隆太さんや、自分の状況をすんなり飲み込んで
    「ま、しゃーねーや、これからどうしようか」みたいな感じでいろいろやり過ごしてる青年役を演じた松岡広大さんも
    印象に残りました。松岡さん、身のこなしすごすぎでしょ…。

    語る室、どっちかというとアイデア一発過ぎるところあるので、奇想天外かつそこそこ重厚なテーマを次回期待したいな。

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    2020/11/22 10:05

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