満足度★★★★
鑑賞日2020/11/06 (金) 19:30
いつもながらの「いい芝居」を見せてもらった。
2008年に劇団の旗揚げ公演で上演し、2014年に再演した作品で、4話の短篇集の三演。もともとは11人いた役者を4人に絞り、主宰の岩瀬と客演の伊原は全話に登場することになった。
1話「観覧車」は2008年の物語。観覧車の同じゴンドラに、高所恐怖症の女(岩瀬)とヘビースモーカーの男(伊原)が乗り合わせるが…、という展開。笑わせつつも切なく終わる。20分。2話「手紙」は1950年が舞台で、戦争から帰ってきた男(伊原)が水商売の女(中島)のヒモになって一緒に暮らしているところに戦争前に婚約していた女(岩瀬)が訪ねて来るが…。戦争で別れることになった男女の切ない物語だ。20分。3話の「幼なじみ」は2008年を舞台に、兄(服部)と妹2人(岩瀬・中島)とやっている田舎の文具店に、東京に出た幼なじみ(伊原)が久々に訪ねて来る…。幼い頃の恋心が切なく終わる。20分。ここで換気のため休憩が入り、4話「故郷の雪」は1964年という前の東京オリンピックの年に、娼婦宿の女(岩瀬)のところに客の男(伊原)が来たが、別れた恋人との思い出を女に演じさせるという変わった客…。これも別れた恋人との切ない思い出の物語だ。30分。どの話も切ない別れを描いているし、戦争の悲惨さという通奏低音もありそうだで、緩やかに繋がれている辺りは、岩瀬の脚本の巧さを感じた。
大久保貴寛のバイオリン演奏が各話を繋ぐ。