PECO PECO ~ハラヘリーゼ~ 公演情報 Reading Bitter「PECO PECO ~ハラヘリーゼ~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     シナモンの回を拝見。

    ネタバレBOX

    良くこんな小さなスペースでこれだけの役者を使ったな! と感心するほど役者数が多い。脚本は勘所を得て何れも秀作。殊に基本的に日常を描いているにも関わらず、現在の都会生活では大方失われてしまった他者への細かな観察力と優しい眼差しが同時に至る所で生きて働いているのが良く分かる筆力と脚本・演出の巧みとが相俟って素晴らしい。これは、出捌けの多い作品を演出も手掛ける脚本家が担っており、事情・タイミングのよく分かった作演出家が兼任している為、オムニバス形式で上演される作品の流れも良いという結果に繋がっている。因みに開演前には、野菜を刻む音と肉か魚或はハンバーグ等をソテーする音が流れているのも“食”をテーマに据えた作品らしく気が利いている。一応、「シナモン」コースのメニュを並べておこう。1:牛丼王子の昼休み 2:ぱぱのたんじょうび 3:幻のミートスポット 4:さようなら、はじめまして 5:時そば大作戦 6:怪人タベタインの6作。2では欝を患ったパパが、会社から休養を命じられ、ママと娘がパパの欝を何とかしようと協力して料理を作る話だが、そのクライマックスがパパの誕生祝いという内容だ。が、母の料理指導が素晴らしいこと、娘の如何にも幼女らしい様子が実に上手く脚本化されていること、欝という現代病の深刻さが影のように始終つきまとうことの怖さがそれとなく対比されることで、実にバランス良く現代日本の家族と家族が暮らす日本の現状が表現されている。4は、老夫婦が経営する老舗喫茶店の話。主人が幼馴染みの親友が亡くなった5年前を境にアルツハイマーを発症し、一元の客が訪れたその日に店を閉める所迄追い詰められながら尚、人として生き続ける、否生き続けようとする様を、妻の昔語りを通して描いた秀作。こちらも未だ治癒の方法が見付かっていない病をメタファーとして現代世界の深い深淵を描いて素晴らしい。6は一応ヒーロー物だが、タベタインが怪人であり、その存在自体が呪われた者の苦しみがキチンと描かれている点がグーだし、1にせよ、3にせよ如何にも現代の若者らしい感性を見事に浮き上がらせている点が素晴らしい。5は無論落語の「時そば」をベースにしているので説明するのは、野暮になろう。
      ところで、締め切りを巡る脚本化と編集者との掛け合いも見所の1つと言えよう。編集者上りのライターの身としては、何れも経験のある所で身につまされるが、土産で釣ったり、食事に誘ったり(作家が男の場合は酒席も多いが)は実際に良く使う手だし、締め切りに関する攻防は実際にはもっと激しいものではあるが、その辺りの事情は知る人ぞ知る、で良かろう。何れにせよ、作家を演じた女優がパタパタ、ぺたぺた歩く様は、室内作業ばかりの作家業でなまった身体の模様を良く表している。

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    2020/11/01 22:48

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  • 皆さま
     少し追記しtおきました。
               ハンダラ 拝

    2020/11/01 23:59

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