満足度★★★
鑑賞日2020/10/26 (月) 13:00
延々と痴話げんかを見せられてもなあ。というのが感想。場面毎に過去に遡っていく展開は、確かにラストのシーンに、おそらくは現在の譲二の追慕として結実し美しい。だけれども、だからといって第一場の譲二とナオミの諍いは、何かに昇華するということでもあるまい。15歳の娘を引き取って、自分好みの女性に仕立て上げるという、現在では実現不可能な夢も、戦前ならありうるなという納得だけで、ことの結末は男女の心の行き違いで別れが訪れたということと何が違うのだろうか。
もっとだらしなく、みじめたらしく、不道徳に描けなかったものだろうか。第三場目ナオミが自我の目覚めをとうとうと主張するくだりでは、ついおまえはノラか?!と突っ込みたくなった。もっと自我とは違う何かが主張したいのではないか?なぜなら、君はすでに自由なのだから。
月船さららのお嬢は好演。これくらいは当然か。何となく抒情的にまとめられてしまった「痴人の愛」
人形による進行説明は、ちょっと反則、芝居の矮小化を招かないか。