満足度★★★★
上演されることの少ないフランス艶笑ドタバタ喜劇である。身体障碍者の性処理が素材になっているから、今どきの言上げ好きの手にかかれば、たちまち、ネットは炎上、お詫びを張り出し、という事になりかねない話なのに、平然と上演するところ、さすが、賀原夏子仕こみの根性のある喜劇劇団の公演である。安易で定見のない正義派に敢然と喜劇で戦いを挑んだところは大いに評価したいのだが、このフランス喜劇になれているはずのこの劇団でも、日本とは異質の倫理観を持つフランス喜劇は手に余った。
こういう倫理を逆手に取ったような喜劇は、ドライに笑いの中に話を展開しないとくだらない正義の声に負ける。俳優のセリフの受け渡しも、稽古ができなかったのかもしれないし、技量及ばず、というところかもしれないが、動きもテンポもかみ合わず(ほとんど動きだけで笑わせなければいけないところがもたもたしているので内容で笑えなくなってしまう)残念な出来だった。ことに、客演の方々、もっとシャンとやらなければ。