満足度★★★★
書き忘れ。配信観劇は全体記憶が薄れやすいようだ..。
Crime第一弾は観ておらず、2ndは配信に間に合って鑑賞できた。
犯罪にまつわる短編3つで2時間、各組頑張ってクオリティを高め、第3弾への期待に繋げたという所だろうか。記憶を掻き起こして一応感想を。
一つ目、女性記者によるインタビューで構成。人物の周囲は闇(道具は椅子のみ)、拠り所は言葉のみで何度も意識が飛んだ(疲労のため)。が、概ね事件のアウトラインは掴めた。闇サイトで出会った面識のない3人の男が不法に金品を得るために集まり(「志」ある者が三人寄れば文殊の知恵とでも考えたのか)、計画の詰めは甘く予定外の展開に場当たり対応に終始し、最後には殺人という結末を迎える。旧日本陸軍の暗喩(実話だが)にも見えた。
二つめはいじめ自殺事件の生徒の担任、生徒指導教員、女性教育委員(か教育長)、いじめた生徒の親(ともう一名居た気がする)による会話劇。この事件が話題になったのは教師が生徒のいじめに参加していた事。脚本では事件は、「パッとしない」教師が生徒に誘われ喜んでうかうかと参加したらそれが自殺した生徒の「葬式遊び」だった、と語られる。この事実を伏せようとする教育委、同情から隠ぺいに傾く指導教員に対し、良心の呵責に苛まれる担任は・・。(The Stone Ageブライアント・鮒田直也作←注目)
三つ目は高橋いさを作演出による、凶悪殺人犯に面会に来る被害者遺族(父親)のエピソードで語り手が刑務官。恨みつらみをぶつける事なく温和に季節の会話などをする遺族と、面会者に「感謝してます」を絶えず口にする受刑者の、激する事のない会話の片鱗に「事件の涙」を想像させるうまい設定。死刑囚への肉親以外の面会は例外措置だった、という事でやがて最終面会日が迎える。
犯罪に眉をひそめながら被害者遺族の各様の思いを知ろうとせず、厳罰化を口にして溜飲を下げる風潮。世知辛い時代には「他人を利用する」エゴが増殖するが、これも「利用」の仕方だろうか。作家の執筆動機は知らないが、ステロタイプな「被害者」像に対するアンチテーゼが、社会派な気配を消しても読み取れた。