満足度★★★★★
鑑賞日2020/09/11 (金) 14:00
オスカー·ワイルド作の「幸福の王子」を参考にした『ツバメの幸福』という劇を観ました。
ほとんど原作通りなのですが、ところどころ違うところがあって、例えばそれぞれのキャラが凄く個性的に演じられていたり、幸福の王子像よりもツバメがむしろ主人公にされていたり、ツバメの葛藤や本当は幸福の王子に言われて立ち回った事なのに、自分はツバメなので、人に自分の言葉が上手く伝わらず、何か責任を感じたりする人間の様な、いやそれ以上の思いやりや切なる願いだったり、温かい心などを持っていることを劇中では強調しているところ。
自己犠牲の物語ですが、舞台ではそこの部分はそんなに大袈裟には強調されておらず、むしろツバメの心理描写や物語に出てくる他の人たちの一つ一つの小さなドラマの部分がかなり強調されていて、幸福の王子が強調されないことによって、神秘性や浮世離れした感じが薄まり、現実味が増して、感情移入しやすかった。
また、観ているなかで、涙があとからあとからほとばしり出てきて、涙腺が崩壊した。それぐらい感動した舞台です。まぁ、ツバメ役の女優の泣く演技や悲しむ演技が真に迫っていたので、本気で泣いたり、悲しんだりしているのかなと私に思わせたことも大きかったのかも知れませんが…。
後、今どき珍しく演出家が主要な役で出演しているのは驚きでした。現在において、なかなか演出、脚本、俳優の三つを器用にこなせる演出家なんて、ほとんど私が見てきた限り、特に若い世代ではあまりいないと思うので。