おどる絵本『じごくのそうべえ』無料配信 公演情報 あうるすぽっと「おどる絵本『じごくのそうべえ』無料配信」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     子供も楽しめそうな作品。(華4つ☆)

    ネタバレBOX

     軽業師が地獄の様々な刑罰をみなクリアして鬼たち、閻魔の鼻を明かす、という民譚が確かあったように思う。有名な絵本も恐らく発想はこの民譚に負っているのではないだろうか? 何れにせよ、COVID-19の影響をしょっぱな無観客の劇場内部、関係者以外立ち入り禁止の看板、スタッフの移動や、楽屋の模様等々で描き、そうべえの軽業をトリッキーな映像処理で巧みに描いている点、子供たちが描いたお化けの絵を映像表現に取り入れ、子供たちにとって等身大のリアル感覚を上手に取り込んでいる点でも評価できる。因みに監督は2人、スズキ拓朗氏は他に振り付けと演出を、もう1人の監督である青山健一氏は、撮影・編集とアニメ・CGを担当している。登場する地獄の亡者は、大工、汚穢屋、殿、楽師、呉服屋、医師、山伏及び軽業師・そうべいの8名。三途の川を渡る際、身ぐるみ剥がされ三途の川を渡るのだが、渡し船は大工が作り、閻魔に最初に送り込まれ千年を過ごした糞尿地獄では汚穢屋の大活躍で極めて清潔で優雅な暮らしを営み、次に送り込まれた釜茹で地獄では、温度を調節して“いい湯だな”で過ごす。針地獄では、呉服屋が針に糸を通し、そうべいが針で貫かれた人々を抱え上げて糸の上を軽業で易々と渡って救出、遂に閻魔は人呑鬼に皆を喰らわせてやると鬼の棲む地獄へ送り込むが、殿の髷はブーメランになっておりそれを人呑鬼に向かって投げると鬼はそれを喰らったが、髷は鬼の体内のあちこちを傷つけさしもの人呑鬼も遂に降参してしまった。流石の閻魔でさえ音を上げて全員生き返らせる。
     落語にもなっている話だそうで、構えて言えば“死と再生の譚”であるから、COVID-19が、政治と官僚の不作為や無能、科学的・合理的思考の欠如によってこれだけ非合理的な施策を打ち出し、人々の間に非寛容と疑念、自己と家族の安全のみを優先させるような不信を育む時代、子供たちも含めて笑える作品を提示していることの意味は大きいと言えよう。随所にスズキ氏がChairoiPLIN時代から育んできた構成力とセンスが光る。青山氏の映像・編集・アニメ/CGのコラボもグー。

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    2020/08/24 18:57

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