期待度♪
ジュニアというのは不思議な年齢だ。チルドレンでもなければ、アダルトでもない。過ぎ去った子供時代の余韻に浸りながら、未知を恐れ、それを尊ぶ不確かさ。それは、右と左の矢印両方に引っ張られながら弾けそうになる、一個の風船のようだ。
しかし、このような感情が即「ジュニア」なのかといえば、そうではないと思う。部活の帰りに牛丼屋に行けば大盛りを注文するだろうし、エネルギー源を蓄え、思索をすることもなく、火照った汗を流すのだから。
ミュージカルとを相関づければ、「声」に辿り着く。そう、身体に備わったソプラノリコーダーを男子は捨て、人生の第二幕よろしく野太くなっていく。俗にいう「声変わり」である。それはまた、時間との闘いでもある。 人生の初期において早速「終幕」を意識せざるを得ない この年代は、いわば矛盾の体現者だ。
ミュージカル座は「国産ミュージカル」を文字通り量産してきたフロントランナーだ。華やかで、明朗で、クォリティーを感じられるし、お約束という「安心感」があるのだけど、その裏側でもドラマは同時進行している。それを一般化してコメディタッチに描くのがミュージカル座の特徴だ。
ジュニアにとって出演するというのは「ふるい分け」と同義だろう。争いと団結を客にみせるのだとすれば、すなわち「素」(おどろおどろしい類ではない)だ。こうも言えよう。表舞台に立つ「ひとつの笑顔」との差を相対することによって、物語を通じ、私たちに表裏一体の「笑顔」をきっと教えてくれるのだ。そして、「素」は否定されるべきではない。品がないわけではない。それこそが動力なのだ。
私たちが目の当たりにするのはミュージカルを100倍楽しくしてくれる魔法だろう。