満足度★★★★
結構な出演人数の割に共通役無しで2チーム。「大事に作る」印象のことのはboxにしては・・制作上の事情か、とすれば稽古回数の圧縮が中身にしわ寄せを・・等と実は勘繰りながら観ていた。が、戯曲の本線がやがて浮上し、堂々たるメッセージ性が倒れた大木を起こすようにもたげ、元来飲み込みづらい超自然的要素をすっかり観客に飲み込ませて終幕した。
バブル時代を思わせる台詞に、若手中心の俳優は時代気分のシフトが出来ない様子、これが序盤のギクシャク感の事情と想像するが、戯曲を古いと感じさせなかった点において上演は成功と言えるかも知れない。貨幣や住居、所有に捉われない生き方・・・思い起こせば当時こういった視点がバブルに踊る自らへのアンチとして)巷間あった(『パパラギ』なんてのもあった)。
しかし今この時代にこの戯曲の言葉を据えると、バブル期からさらに転落した文明そのものの惨めな帰結を、深く深く思わされる。
このご時世に・・は決まり文句になりつつあるが、本舞台、この時世によくこの作品を蘇らせた。そしてよく中止にしなかった。