揺れる 公演情報 東京演劇アンサンブル「揺れる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「芝居小屋」外公演の第2弾 at d倉庫。ここ10年程、公家氏演出によるドイツ語戯曲の新作が折々に打たれていたが、初めて拝見した。
    噂に違わず?抽象度の高い舞台。スタッフワークそれぞれのレベルは高いが関連が読み取れなかった。判らなさは半端ない。が、この判らなさの割りには、不快感は小さく、混沌の中で蠢く我々自身をその中に見たような気がしなくもない。極部分的だが真情吐露に引き込まれる部分もあった。

    ネタバレBOX

    音楽(国広和毅)が妙だな(スペクタクルに大仰だがシンセ音)、と思えばどうやらバーチャル・ゲームの世界がダブってるらしい、と気づくのは開演後随分経ってからだった。
    衣裳(稲村朋子)も派手なパステル調の人物らと、地味なカジュアルで逆目立ちの青年(主役)の他カジュアルが数名が居るが、その中間にっぽいのも居て、衣裳によるカテゴリーの区分と役割分担が難解(多分パステルが群衆でそれ以外が超越的存在、主役を除き)。
    美術(池田ともゆき)は簡素、ポイントは平場に数個置かれた枠組みだけの箱。パステル調の一部(全員でない)が一人ずつ収まっており、引き籠りイメージと思いきや、そこを居場所に喧喧とうるさく喋る。
    d倉庫の黒を利用して全体に暗く、基本人物に当てる照明。
    彼らを襲う轟音。
    スペクタクルな音と映像・・。
    バーチャルでない「現実」世界と思しいのは、ナイーブな主役青年と、彼を導くように迫る女性のやり取り。彼が誤射で殺した子供の母らしいと後に判る。子供は耳が聞こえないため周囲の状況が判らず、懐に手を差し込んだ姿に危険を感じた男は相手を撃ち殺してしまった・・。
    およそ輪郭のはっきり見える「話」はその部分くらいで、他のパーツがそことどう関係するのかがやはり判らなかった。

    この戯曲には「役」の指定が明確にあるわけでないらしい。これだけの出演人数に役を当てただけで大変な作業、という事になる。不親切で難解な戯曲に挑発された演出家の苦労の結晶と受け止めておこう。

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    2020/03/30 03:39

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