満足度★★★★
銅鑼のアトリエ初訪問。消毒・マスク・もぎり省略等のコロナ対応を励行。表通り(幅狭バス通り)から程よく引っ込んだ建屋の劇場スペースは下北の小劇場規模。アットホーム感がある。舞台も近く、役者の顔が化粧の乗りが目に入る程の臨場感。
芝居の方は詩森ろば所縁のスタッフ(音楽:後藤浩明、音響:青木タクヘイ、美術:杉山至)を揃えての躍動的舞台。
とりわけ客演・林田麻里女史が私としては引きであり、飛び道具的ポテンシャルを持つ(と思っている)女史が、銅鑼舞台の中にどう居住まうのかが密かな関心。ドンピシャとは行かなかったが主役・島隆(りゅう)役を担って「ならでは」の芝居になった。対する夫・霞谷役の館野元彦が銅鑼の主役級を(恐らく)担って来ただろう貫禄。どこかで見た名と思えば先般の劇団協主催の喜劇『マジメが肝心』で神父役であった。
ステージをフル活用した回転舞台、歌、ムーブ、劇中劇構造を生かした場面つなぎのフレキシブルさとテンポが詩森「演出」の特徴だが受けが良いようである。二人の現代人以外は着物であるのも趣きを醸す。(幕末の上野戦争の直前、懇意の上司が二人を避難させる目的で自宅に招くのだが、その準備の時間に夫婦の会話をしながら正装の袴を履かせる隆の妻らしい慣れた手捌きが見事であった。)