チラシの絵はバロック期の巨匠ベラスケスの代表作「ラス・メニーナス(女官たち)」(1656)である。中央にいるのは(本来は)スペイン王フェリペ4世(1605-1665)の王女マルガリータ。このスペイン・ハプスブルク家は繰り返された近親婚のためにマルガリータの弟のカルロス2世で断絶する。おそらく作者はこの絵と逸話からインスパイアされて本作を創ったがために「バロック」という題名にしたのだろう。そしてあの優雅な曲線の左右の階段に象徴される建物の造りがバロック風なのかも(全然知らないけど)。
内容はこういう怪奇ホラーファンではない私にはちょっと退屈だった。前列なら舞台との一体感があったのだろうが後列では薄暗い舞台に目が疲れて目を閉じては大音響で起こされるの連続で集中することができなかった。電話に出ると向こうの世界に移動してしまうというMatrixのような場面や近くにいながらお互いに見えないとかの場面もあって舞台を明るくするわけにはいかないという事情は分かるのだが。
月曜の昼間で、この情勢だから席は飛び飛びと思いきや満席である。スズナリの満席はかなり体に優しくない(泣)。終わって外に出ると太陽が燦燦と輝いてふらつく体を更にゆらす。