満足度★★★★★
県立劇場休館の中で、貸し小屋だったために公演できた。皮肉なことに大劇場で、ほぼ満席。二回だけの日本初演である。
国際的な場で成功しそうなジャポニカ趣味の全くない画期的なステージである。現代的で、前衛。中身は「罪と罰」だが、多くの町の人物が交錯するはじまりから次第に、ラスコリニフ(小林洋平)とソーニャ(安部總子)に絞られ、そこで、原作のテーマが、舞台ならではの手法で演じられる。ホリゾントに工場の非常階段を三段に組み、そこから出入りする装置も、照明も細かく計算され、例によって、掛け声(今回は{あ!」)も効果を上げて、リズミカルに、ペテルスブルグの物語に誘われる。二回だけというのは勿体ない。劇場も増えているので再演を待っている。