満足度★★★★
現代劇はイプセンにはじまるといわれているが、19世紀の本は、さすがに古い。しかし、ここから始まる、という初々しさもある。新国立の俳優養成所の卒業生の修了公演である。
俳優と戯曲がともに、新しい世界に挑む船出につながって気持ちのいい公演になった。3時間の長い芝居で、主演の男優は声がかれかけていたが懸命に努め、度胸のいい女優もいる。優等生ばかりで端役も隙がないという印象ではあるが、セリフも動きも、技術的には安定している。
ノルウエイの田舎の港町の話だが、面白くできあがった。。
公演の趣旨とは違うかもしれないが、久しぶりに、のびのびとした宮田慶子の演出を見た。宮田演出は、やさしくいきとどいたタッチが女性演出家の中では傑出していたが、新国立でもみくちゃになっている間にしぼんでしまって残念に思っていたが、今回は基本を押さえながらも流れるように新人たちに舞台の動きもセリフも示唆している。宮田慶子、復調して快調である。新国立では、とんだ目にあったのに、新人養成には地道に力を尽くしていたことが分かる。活躍できる公共劇場も増えてきたので、改めて元気のいいお姉さんの活躍を期待したい。