東京ノート・インターナショナルバージョン 公演情報 青年団「東京ノート・インターナショナルバージョン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    近未来2034年の東京。初演1994年の時は2004年の設定だった。でも、作品の内容に、この年号はあまり関係ない。上演時点での風俗が書かれているわけではないから。ヨーロッパでなにかの戦争が続き、美術品が東京に大量に疎開してきている。その美術館のロビーをいきかう、様々な人・グループの会話、という内容である。

    日本人同士のたわいのない会話に比べ、フィリピン人、ロシア人(今は日本国籍取得)、アメリカ人たちの会話に、生き方や政治社会観の違いも込められていて、彼我の差が感じられる。当の外国人のセリフにも「日本人はこういう話を嫌うから」とある。またフィリピン人が平和維持軍にはいるというのを小耳にはさんだ、日本人が「戦争はんたーい」と皮肉る。こんなところにも、日本人の平和意識の強さと、軽さが、海外との対比で示されている。
    日本人だけのバージョン以上に、それぞれのグループの違いが民族や国の違いと重なって意味を強めている。
    このあと、通常バージョンを観る予定だが、この違いは、どう感じられるだろうか。

    「セミパブリック」を場面のキーワードにする平田オリザだが、「セミパブリック」の度合いは、作品により大分違う。「東京ノート」の美術館ロビーは、最も公寄りの設定である。互いに全く知らない7組が互いに知らないまますれ違うので、「ソウル市民」や「冒険者たち」以上に、人間関係は薄く、乾いた雰囲気の舞台である。

    多国籍のスタッフで作ったという舞台美術が面白い。天井から垂れ下がった、白い長いモビールのような装飾など、美術館の雰囲気をよく出してい

    ネタバレBOX

    中学生のおんなのこがときどきあらわれて、美術館客に「日本人の方ですか?」「はい」「じゃ、いいです」と、素っ気無く去っていく。この会話が何故か面白く、観客もみんな笑っていた。聞くと、この中学生の井垣ゆうさんは、豊岡のワークショップで発掘された豊岡の本当の中学生である。WSがよかったので、東京公演でも、出てもらっているとか。これは拾いものである。

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    2020/02/12 08:33

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