満足度★★★★
日本工学院専門学校 片柳記念ホールにて『見よ、飛行機の高く飛べるを』を観劇。
以前から一度観てみたかった演目。CoRiChでたまたま公演情報を得ることが出来たため、微かに聞いたことがある程度だった日本工学院専門学校さんのホールに初めて足を運んでみることに。「声優・演劇科43期/演劇スタッフ科35期 卒業公演」という位置付けの3日間4ステージのみの無料公演。確かに「観たい!」と思って観劇を決めた公演ではあるものの、「学生さん達の公演だし…」、「無料公演だし…」と正直そこまでの期待はしていなかったのですが(失礼)、良い意味で期待を裏切るとても素晴らしい内容で驚きました。変な先入観を持ってはいけない。恐れ入りました。。
明治44年、小学校の教師を目指す女子師範学校が舞台の物語。現代でこそ男女平等の思想が定着してきましたが、当時の女性が置かれた立場はとても厳しいものであり、この作品においてもその情景が随所に垣間見れ何とも切ない印象。ただ、そのような環境の中、自らの強い信念を貫き新たな時代に向かって前進しようとしている女性の姿が描かれており、非常に力強くカッコ良く見えました。人の生き方など何が正解で何が不正解なのかはわからないというか、それを判断出来るのは誰もいないのではないかと感じます。結局は本人次第であり、本人が良いと思うなら良いのではないかと思うので、少しでも自身にとって満足、納得のいく生き方をすること、それに向かってブレずに進化を続けていくための努力を怠らないことがとても大事であると改めて感じました。これはいつの時代であっても共通していることだと思います。“十人十色”、“みんなちがってみんないい”、“日進月歩”などの言葉が多くの人の心に刺さり、共感を得ているのは、結局はそういうことなのかなと。
ストーリー的にも見応えはありましたが、横長のステージ形状を生かした立派な舞台セット、わざと校舎の使い込み感を見せているような窓、壁の細かな色味、そして演者さんの役に成りきった気持ちの入った演技など、どれを取ってもクオリティの高さを感じました。フルカラーの当日パンフレットも嬉しいサービス。皆さん良かったですが、中でも主演の板倉由香さん、関谷優風音さんは目立つ存在でした。小島美波さん演じる少し腰の曲がった賄い婦、鈴木沙霧さん演じる先生もなかなかの好演ぶり、校長先生役の土池悠介さんは良声が印象的だと感じました。このクオリティならまた他の作品も拝見してみたいところです。