舞台「盆栽」 公演情報 ALPHA Entertainment「舞台「盆栽」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    登場人物は6人、そのうち日本人は1人(女性)。他はアメリカ人、イギリス人といった設定である。正確に言えば日本人も結婚しており日本国籍ではないかもしれないが…。物語は生まれ育った環境、それぞれの国の伝統・文化の違いを、「盆栽」を介して浮き彫りにする。「盆栽」が日本人の心の象徴なのか分からないが、何かを介在させて 生活習慣、考え方などの違いを描くことで、夫婦のありようを考えさせる。
    物語に必要な介在物は「盆栽」でなくとも説明出来ると思うが、その何かを利用して夫婦、隣人にまで広げた人間洞察・関係を巧みに描き出す。些細なことでの口論を盆栽ならぬ仲裁をする人がいないことから会話が漂流するように漂い、行き違い、誤解など そのかみ合わない様が実に面白い。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは主人公夫婦 ベン(森岡龍サン)とミカ(大谷麻衣サン)が住む集合住宅のダイニングキッチン。中央にダイニングテーブル、上手側にキッチン、下手側にソファーと”盆栽”がある。もちろん小物等も充実しており、セットを事細かに説明しきれないほどだ。
    物語は日常を描いていることから、時間的な経過は照明の諧調によって表す。また音響等は会話劇であることを意識している。その意味で、舞台技術は物語のコミカルな丁々発止とは異なり、現実感そのもの。舞台セットと技術というしっかりした枠があるから、物語が日常という世界に収まる。そして日常の夫婦関係における確執や軋轢が浮き彫りになってくる。登場する人物の性格や仕事、その立場などが騒々しい会話の中で自然と説明させる上手さ。

    面白いのは、アメリカ人である夫ベンが良く言えば大らか、悪く言えばマイペースといったところ。妻ミカ(日本人)は、物事に細かく、決まりごとを建前にする、といった設定のようだ。この夫婦をアメリカ、日本人の代表のように描く。冒頭の目覚まし時計に関するうん蓄はその典型的な会話。
    逆に「盆栽」の精神的な効用を説くのはベン、ミカは興味もない様子。何かの価値判断は、人それぞれ、日本人(ミカ)≠盆栽にしないところに、この物語の妙がある。
    後日追記

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    2020/02/07 16:20

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