満足度★★★★
鑑賞日2020/01/28 (火) 19:00
座席1階
チャリTの芝居は見たことがあるが、この演目は初めて。秘密保護法成立前後が初演だったというが、当時は国会デモなどで盛り上がっていた時期。あれからすっかり国会周辺は静かになり、もはや安倍政権はやりたい放題だ。桜を見る会の名簿も「機密扱い」みたいにやばくなったら破棄してしまうという、もはや民主主義国家とは信じられないありさまだ。演劇人たちよ、黙っていていいのか。そんな思いで劇場に出かけた。もちろん、初演をそのまま再演するのではく、桜を見る会とか、「調査研究」で自衛隊を中東地域に派遣してしまうとか。そういったところもじゃんじゃん盛り込まれると思っていた。
それじゃあ「再演」じゃなくなってしまうと言われるかもしれないが、そんな思いで座・高円寺に足を運んだ人は多かったのではないか。コントの切れの悪さには文句は言わない。やはり、チャリTならではの鋭い舞台を期待した人たちには、物足りない内容ではなかったか。
翻って、秘密保護法の危険性を一から学ぶ、みんなすっかり忘れてしまっているこの法律の恐ろしさを思い出させるという点では十分に効果があると思う。舞台は、「後方支援」として安全な場所に派遣されていたはずの自衛隊に関する情報に触れたために、なんとお笑い芸人が逮捕されるという筋立てだ。どうして逮捕されたかも「秘密」というわけで、二人の刑事も「身に覚えがない」と訴える芸人に「なぜ逮捕されたか」も言わない。一見荒唐無稽かもしれないが、秘密保護法が通ってしまった今ではありえない話ではない。軍事機密とはそういうものなんだろう。
内情を知った新聞記者が、このネタをがっちり紙面で伝えられるかどうかも触れてほしかった。