ポポリンピック 公演情報 ゴジゲン「ポポリンピック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ロングランの序盤(2か3ステージ目)を観劇し、もう一回観てみたくもあったが叶わなかった。
    ボーリング場に捨てられ不遇に育ったポポの物語。ボーリングが染みついてるポポは生活の中にボーリングがなきゃならず玉を持ち歩き、時々投げるという、特殊な生い立ち故の特殊な人間という設定。ストライクしか出さないポポは最初持て囃されやがて飽きられるが、あるボーリング場に職を得て仕事仲間を得る。またロッククライミングをする男と出会い、初めて「親友」を得る。
    難を挙げれば、、オールメイルの若手俳優らは学校の教室の隅で目立ったやや不良男子グループ風・・役柄より俳優自身のキャラでファンサービス的。要は若い女子の肩笑いをゲットな存在キャラ。あと型で決めるギャグ(これも若い女子にアピール)を優先し人物イメージにブレが(特に主人公ポポ)。(先日別のレビューで触れたが)オリンピックの選考に漏れた種目を盛り上げようという「他意なき」イベント=純粋さを印象付けるため、アンチ(オリンピック反対派)を「これと間違えられちゃ困る集団」として自らを区別し、世間に取り入る姿勢(「誤解されて可哀想」と、観客のシンパシーを獲得できるとの前提だが、これは痛い)。また親友が頑張ってたスポーツクライミングが新種目に選ばれるや、ポポらの署名活動(ボーリングを公式に)にも、イベントにもえらく冷淡、「こっちは国を背負ってるんだ」とヒロイックに切れる姿は定型的(ありがち)でリアリティがない。あんなにスポーツを楽しんでいた彼が「楽しむ」境地から離れている時点で五輪って何?、アスリートとしてもどうなの?、いつからメダルを国威発揚・求心力にする途上国に日本はなっちゃったの?・・等々疑問を投げかける契機は多々あるが、石を投じる事がなく、最後は「世間との適切な距離の取り方」に戻って行くという話で、「それに抗おうとしたはずでは?」と。面白いのはポポがストライクを取れなくなるというラストだが、総じてこれらは作者がそうである所の「突出した才能で勝負する世界」の話であり、若い頃のある種の才能が発揮される場を得られず、紆余曲折の中で摩滅し、別の生き方(創造の方法)を模索するか勝負の土俵から退くか、次の人生のステージへ移る局面を描いているように見える。
    「親友」の変貌はリアリティの面で厳しいが、公式選手はさながら正社員で、それ以外は非正規社員、上に立つ人間には責任がある、お前ら気楽でいいよな、と言う言葉の裏に「公式」とか「公」とかそこに繋がる「責任」の側から、格下を見下げるような「今」の空気は意図的かは判らないが舞台に反映ている。
    理不尽さから反旗を翻したか、ラスト、仲間はどういう訳かヘルメットをかぶり、いつしか「アンチ」となっている(外見は間違いなく)がこれは唐突。オリンピック開会式会場の壁の前で、式を妨害するためなのかマイナー種目のスポーツの祭典への参加というだけを貫くのか判らないが、開会式の開始の合図を待って各々待機している所、ポポがふと空を眺める。それにつられて他の者も「戦いを忘れる」時間に入って行く。気づけば開会式は始まり、タイミングを逸していた。
    ここだけ抜き出せば、戦場で夕日を眺める的なイイ話っぽいのだが、結局のところ彼らの行動の動機は何だったのか、うまく掴めない。

    ただ役者らの敏捷さ、身体能力、ギャグを成立させる瞬発力で上演時間はコース料理のように飽きずに最後まで運んでくれた。俳優の実力を愛でる上演。美術も機能的でなかなか巧かった。

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    2020/01/24 03:14

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