満足度★★★★
昨年面白く観た『ひかりごけ・男子バージョン』(確か)に出ていた夏目慎也とG.K.Masayukiの名も見えたのでほぼ全幅の信頼と期待をもって観劇日を待った。スズナリへ到着すると客席の埋まり具合は程々(お陰でゆったり座れる。制作的には何だが)、ステージを見るとこれがまた一風変った仕掛け。鈍く光る(金属製に見える)半円形の台が壁面から出ており、外周に沿ってレールっぽい溝があってその両端、即ち左右のどん詰まりは開口し、のれんの目隠しが垂れている。要は空港の荷物受け取り場にあるベルトコンベアの形だ。冒頭その半円の外周に沿って俳優らが順次立ち、奇妙な挨拶を始める。
客席は程々と書いたが、演出関氏の「芝居の面白がり方」=作風が通好み?客を選ぶ?のだろうか。本作もけったいな演出であったが、確かにガリバー旅行記であった。
方向性は好みである。ただ、漫才で言うボケのアイデアは潤沢なのだが、ツッコミと言うか拾い方が難しい所、切れ味がもう一つ欲しい箇所もある。夏目+立崎真紀子のコンビをしつこく登場させてサラリーマン風ガリバー男にツッコミやらせる反復ボケなど、ボケる事でガリバーから何を遠ざけているか(それによって困らせているか)が、もう少し判りたかった。
奇態なアイデア勝負に見えるが一朝一夕思い付きで出来上がる代物でなく、様々な試行錯誤により時間をかけて細部が作られた感触があった。何つっても犬が登場って・・客に対するボケも極まり、客はどうツッコんで良いか判らないが、いずれ受け方を見つけるのやも知れぬ。