満足度★★★★
ギャラリーしあんを好んで使うさんらんの、この場所に相応しいオリジナル戯曲の2度目の観劇。小品なれどユーモラスで中々気の利いた劇。自然光で役者の素肌も見える間近な狭いスペースで異界が立ち上がるという面白さ。この芝居に集った演者も個性バラバラながら好演して愛らしい。久々のさんらんであったが着実に仕事を重ね劇団の地歩を築きつつある事が窺える公演でもあった。
終演後、お年を召したお隣様が「本当にいいものを見たねえ」と言いたげな晴れ晴れとした笑みをくれたので、「そうですね」と会釈で返答。この極小サイズで上演される芝居は目撃者も極僅かである事を(勿体ない意味で)つい考えるが、そんな狭量を霧散させる。
子供の世界を見ながら、ふと人生を思った。ゴン太は健気だが我が儘を言う。それが本心なのか、血の繋がらない親への気遣いという名の愛なのかは判らないが。ただ与えられる事、それに感謝する事(擬音はうっしっしでもいい)、そんなシンプルな人生の時間が、許されていいという事について、長らく忘れていた気がする。