満足度★★★★
演劇情報サイト「コリッチ」の招待券プレゼントに当たり、13日午後、下北沢の劇「小劇場」でアンティークスの『一滴のしずく』を観てきた。初めて観る劇団の公演だっらが、15周年と言うことから、そこまで長く活動を続けてきた劇団の舞台なら外れはないだろうという思いで出かけたのだった。
舞台は、父しげおと娘三人が営む民宿。母親は、三女を産んですぐに亡くなり、娘達は父親一人に育てられている。そこに、次女で小学校の教師をしている美樹の紹介で、10歳の時に記憶喪失になり施設で暮らしを経て学校の給食係だったゆうさんが住み込みで働くようになる。
そこで、実はゆうさんのいた養護施設でしげお妻、三人娘の母親でもあるはるかが働いていたことが分かり、それがきっかけとなってゆうさんは喪失していた子供の頃の記憶が蘇る。
と同時に、はるかが生前に残した娘達へのビデオレターが発見され、娘達は、母親の思いに浸る。
タイトルの「一滴のしずく」とは、はるかがビデオレターの中で娘達に語った「一滴のしずくは、やがて大きな海にかわる・・・」からつけられている。
人々が様々な出会いを経て別れていき、更に新たな出会いにめくり合う。その人の生きる、そして出会いの営みの大切さを、この劇では民宿を通して観る者に伝えようとしていた。
劇の序盤は台詞の行間がややスカスカ、つまり脚本が粗くてどうなるかと思ったけれど、中盤から終盤にかけての登場人物の対峙のさせ方はなかなか上手かった、さすがに15年という活動実績のある劇団。ラストシーンでは思わず目頭が熱くなった。
次回公演は、是非自腹で鑑賞してみたい。