満足度★★★★★
とてもとても意地悪な脚本
知的障害を持つ兄と暮らす弟、そして彼らを取り巻く人々
何もかもの情報を与えられていない中で観客は
その関係性に理想を少し求めたり苦しさを知ったり
結局取り巻く彼らと同じに自分の理想を重ねていく
僕は知的障害者のことをよく知らない
世界がどう見えるのか、同じものを見てどう考えるのか
何も知らない
でもそれは知的障害者にだけではない
僕は自分以外の人の世界の見え方を知らない
何を考えて、その人が何なのか、誰も彼もを知らない
だから人をどう認識するかだ
「人の気持ちになってと考えろ」とよく言うけれど
そこで考えた気持ちは結局自分のものだ
誰かと知ろうとするには、まずはそこに人がいることを知らなければいけない
自分にはわからない人がいることを知らなければいけない
この作品で描かれた人たちはただ多くの中の一つの状況に過ぎない
だから正解も間違えも答えもない
自分以外の誰かに気付く、そんな作品だった