Butterflies in my stomach 公演情報 青☆組「Butterflies in my stomach」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    10年刻みで描かれる女性の一生。「10年刻み」と聞いて7つの愛のエピソードを描いたFUKAIPRODUCE羽衣「サロメvsヨカナーン」を思い浮かべたが、どちらかというと、ままごと「あゆみ」の軽やかさのほうに手触りが近かった。

    蝉の鳴き声やサイダーの泡、風が通り抜ける気配、波しぶきなどを擬音を用いて合唱することで瞬時に風景を立ち上げる手法は見事。手前と奥で相手と向き合わずに会話するシーンは、心の距離や時間の流れを表わすようで物語自体の奥行を感じさせた。

    ネタバレBOX

    主人公は自己愛が強い割に常に受け身で他者への興味が薄いため、亡くなった元カレも家族の元を離れた父親も言葉少なな夫も一体何を考え生きていたのかが皆目掴めない。生涯に渡って想いを募らすほどの愛着を持った元カレは、なぜ亡くなってしまったのか?父親が家族から離れざるを得なかった葛藤や苦しみは?長年連れ添い言葉少なに妻を見守る夫の気持ちは?彼らは(というか、このお芝居に登場する男は皆)主人公の感情を反射させるための装置程度にしか描かれないため、まるで書き割りや借景のように薄っぺらく見えてしまう。

    恋をしたり、結婚したり、妊娠・出産・子育てなど歳を重ねて女性としてのライフステージは相応に変化してていくものの、生涯にわたり自分の人生を自分で切り開くために逆境に立ち向かうことはしない。「言葉が分かる」ほどの猫すらも自分が選んだわけではなく夫が連れて帰ってきて飼い始めたもの。成り行きまかせの人生をそれなりに謳歌している様に首をかしげてしまう。ラストでは「あんたの人生、それでいいの?マジでか??」と思ってしまった。

    「隣の家のバーベキューの煙がうちまで届いて腹立たしい」とか「いつも愛想のいいコンビニ店員の手首にリスカ跡がビッシリあってギョッとした」とか、そんな些末なことも人生の一部だし、それらを濃厚に描くことでも人生は語れるのではないか。恋愛や結婚もそりゃ大事だろうけど、人生そればっかじゃないし。女性誌に書かれていない人生の在り様こそを私は観たい。

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    2019/12/11 11:10

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