満足度★★★★★
鑑賞日2019/12/08 (日)
日生劇場にてホリプロ主催ミュージカル『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』を観劇。
一度観てみたかった市村正親さん、武田真治さんら出演のミュージカル。1994年の初演から何度も再演がなされている名作ミュージカルでしたが、個人的にはなかなか観る機会に恵まれず今回が初めての観劇でした。この日が初日ということもあり、1300人以上収容の日生劇場の入口に「満員御礼」が掲示されていたことにまず驚き。あの光景を見て「やはり何度も繰り返し再演されている人気演目だけあるなぁ」と開演前の高揚が一段と増したような気がします。
そして本編。舞台は19世紀末のロンドン。讃美歌が流れるクリスマス・イヴの街の情景を描いたシーンから始まりましたが、このオープニングのシーンからステージ上に創られた街の情景、演者のパフォーマンスのいきなり圧倒されました。決して広くない空間を上手く使った小劇場での作品も良いけど、大きな場面転換が出来る大規模な可動式舞台装置を伴う作品もやはりこれはこれで良いと改めて感じさせられました。とにかくその舞台セットが造り出す迫力あるステージに圧倒させられました。ステージ上を人が飛ぶシーンは同じホリプロさんの『メリー・ポピンズ』や劇団四季さんの作品などでも拝見したことがありますが、数多くある印象に残るシーンの中でも特に強いインパクトを残すような気がします。この辺りは小劇場ではあまり体感出来ない興奮と感動かなと思います。
ケチで意地悪なクリスマス嫌いのスクルージが、クリスマスの精霊達と出会い、過去から未来への旅ではないですが、自分自身の生き様を見つめ直すファンタジー要素が含まれたストーリーは、観る者を惹き付ける場面が幾つも盛り込まれた素敵な作品だと感じました。人間ある程度歳を重ねてくると、ふとそれまでの生き方やこれからの生き方について考える瞬間があるような気がします。今回の作品はスクルージの生き方を描いたものではあるものの、自分自身にも重ね合わせ、改めて生き方について考えさせられたような感覚にもなりましたし、同時に、誰もが限られた人生なのだから人それぞれ自身が納得出来る且ついつか終わりが来る時に少しでも後悔の少ない人生を歩んでいけたら良いなと感じた部分もありました。スクルージ役の市村さんが実にハマり役で素晴らしかったです。武田真治さんはテレビなどで見せる筋肉キャラとはまた違った役どころを好演。子役達も絶妙な心情をよく表現されていたと感じました。クリスマスを迎えるこれからの時期にピッタリの笑って泣ける良質なミュージカル。観に行けて良かったです。また観たいなー。カーテンコールでの観客のスタンディングオベーションも素晴らしい一体感でした。