唐十郎楼閣興信所通信 公演情報 鳥山企画ミリアヤド「唐十郎楼閣興信所通信 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    唐十郎作品の舞台でこういうのは観た事がない。よくみると戯曲でなく小説の舞台化であった。泉鏡花×鳥山昌克シリーズは前回あたりからチラシを目にして気になってをり。但し過去作は俳優・鳥山氏が唐十郎作品を構成し演じる一人芝居で、今回のような大所帯(といっても7、8人だが)での上演は異色のよう。近藤結宥花の名もあって観劇に及んだ。
    テキストは再構成したのだろうが、唐流の詩情が溢れている。劇は冒頭を見逃したが、場面ごとに闇から浮かび出る美術(具象)と、切なく情感をかき立てる音楽(悲恋物の洋画に流れそう)で、耽美な物語世界が描かれていた。原作がそうなのか演出なのか、乱歩の趣あり。
    原作の小説「紙女房」は短編集との事で、舞台は3エピソードで構成していた。「楼閣興信所通信」とは原作に付いている副題。その興信所の所在地は東池袋の設定らしく、劇場のロケーションには拘ったに違いない。
    一つオーラス暗転直前の場面が、はっきり記憶にないが、探偵と助手のやり取りだったか、もう少しスマートに行きたく思った。(終わり良ければ○○)

    ネタバレBOX

    キャストの事。熟年近藤女史は今回で3回目で、初が2016年ビニヰルテアタア「楽屋」、この演出が思えば鳥山氏であった。その「楽屋」の再演の方に出た沖中咲子が今回出演していたが、実は新宿梁山泊に十年前まで所属していた(一度ならず見たはずだが忘れていた)。近藤女史を二度目に見た「精神病院椿荘」で競演した土屋氏も今回出演し、あの早口で(噛みながら)回想を語る場面が唯一、いわゆる唐舞台らしさ(小劇場らしさ)を醸したと言えばそうなるか。森川由樹は先般見た三人芝居「リハーサルのあとで」の若い女役で苦労していたが、今回は容姿端麗を生かして「探偵物」の悲しきヒロインに嵌っていた。初の岩戸英年(探偵役)、同じく山﨑薫(二幕のヒロイン/三幕では探偵助手となる)が三幕で見せるコメディ調も探偵物の一典型で「いかにも」が上手く活きている。彼らが出くわすエピソードはシュールだが。山﨑薫は「殺し屋ジョー」に行けてたら御目に掛ったようで。
    特徴的な美術と、映像も使った演出にこだわりが見え、企画の冠「泉鏡花」が意味深。興味深い試み。「紙女房」を読みたくなった。

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    2019/12/02 01:55

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