FOOLS PARADISE~愚者の楽園 公演情報 舞台芸術創造機関SAI「FOOLS PARADISE~愚者の楽園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    久しぶりに観るアングラ劇系、この劇団の紹介には「演劇の娯楽性と実験性の共存を追求」とあり、まさしく謳い文句通りの面白さと志向性が感じられた。まず舞台セットはダンボールの柱を始め新聞紙が天井や壁面を覆い、それらが散らばったゴミ屋敷のイメージであり、概観は妖しげであり退廃的な雰囲気を漂わす。物語は次々に変容し、そして破壊し再生するような変幻自在といった展開である。その壊して創るといった流れが実験性とも思える。公演は、狭い空間に役者の独特な演技スタイル、紙粉舞うような環境下、そこに舞台・客席といった明確な境界があるような無いような曖昧さ。もしかしたら接触するかもという、妙な緊張感や迫力を感じられるところが好みだ。演者9名、観客8名、超至近距離による濃密な公演、十分堪能した。
    なお、この公演の独特な世界観は万人向けかどうかは…。
    (上演時間1時間30分)2019.12.3追記

    ネタバレBOX

    少し気になったのが、舞台における砂被り席。舞台は地下入口から左右に分かれ、右にメイン舞台、左が役者の出入口と細長い空間の真ん中に花道(通常家屋の廊下幅程度)のような通路があり、そこを使用し演技が行われる。客席はその花道両側(客席が3~4人づつの相向かい)にパイプ椅子、身を乗り出そうものなら役者と接触し演技を邪魔することになる。先の砂被り席はメイン舞台の真横で、一番 物(新聞紙やダンボール箱など)が飛んできそう。刺激を求めるならお勧めだが、花道での演技、特に役者出入口近くでの演技は見切れになるような気もした。それでも砂被り席にも座ってみたかった。
    もう一つ気になったのが、映像シーン。物語の中でヤクザ廃組の「先代ボスの使いクモ」として大島朋恵サンが映像出演するが、その画質が粗いこと、細長い舞台(花道)であることからプロジェクターの映写角度というか映写範囲に役者が被り観難い所があったのが残念。一方、社会というか世間との繋がりとしてラジオ番組が流れるが、こもだまりサン/有栖川姫子サン/の音声出演は明確に聞こえる。ここに映像・音声の舞台技術の扱い方の丁寧さ違いが出てしまったのが勿体ない。

    物語は変容するが、それほど複雑ではない。工事現場で働くミダレはアルバイトをしながら役者を目指している。彼にはスグハという同棲相手がおり、彼女もまた声優を目指している。ある日、ナギという関東暴力団・廃組組長の娘からミダレは組長代理を演じてほしいと依頼されるが…。ナギから「廃組のボスは暗殺された」と聞かされ、いつしか組長暗殺を巡る陰謀と、日常生活とが交錯する中でミダレとスグハ2人が描いた夢のカタチが歪んでいく。現実と非現実・虚構の世界がサスペンス風に描かれ視感するといった感覚である。

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    2019/12/01 16:01

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