満足度★★★★★
三島由紀夫 談
「私としては、葵上が一番気に入つてゐる。
スリラー劇みたいな要素もあり、
主題はそんなに哲学的でなく、
観客にも受け入れられやすいと思ふ。
ただあくまで、六条御息所の位取りが大切で、
安つぽい嫉妬怨念劇であつてはならぬ。
俳優には、やりづらい芝居であらうと同情する。」
と あります。
今夜の大阪での舞台
近代能楽集 「葵上」 は
その意味では 完璧でした。
六条康子
妖しく この世のものではない雰囲気。
狂気に満ちた 強い眼力と
ふと魅せる視線を変える弱さ、はかなさ。
そして あくまでくずさない高貴さと 強さ。
妖艶な 立ち居振る舞い。
湖上でのヨットでの情景描写のみごとさ。
最後は 葵を 呪い殺すのですが、
能楽 「葵上」の 鬼女
六条の御息所の生霊を
みごとなまでに 演じたと感じました。
あまりの 凄まじさに 鳥肌が立ちました。
演出家の手腕も もちろんですが、
六条康子役の 入魂の演技だったと 思います。
本日の
千穐楽 頑張っていただきたいものです。
命をけずる演技に 心配でなりません。